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2025年10月、時事通信社のカメラマンが自民党本部での取材待機中に「支持率下げてやる」と発言し、その音声がインターネットで拡散されたことで、世間に大きな波紋を呼んでいます。この出来事はSNSでも瞬く間に話題となり、「報道の中立性が損なわれるのではないか」との声が相次いでいます。
今回の発言が注目された理由は、単なる雑談の一幕がライブ配信中の音声として映り込み、ネット上で拡散されたためです。時事通信社は、映像センター写真部所属の男性カメラマンによる発言であることを確認し、本人を厳重注意したと公式に発表しました。発言の内容は「支持率下げてやる」「支持率が下がるような写真しか出さねえぞ」というもので、これがSNS上で「報道の公正性・中立性に疑念を抱かせる」として批判の的となったのです。
この問題の背景には、近年メディアに対する信頼感の揺らぎや、報道機関がどこまで中立を保てるのかという社会的な関心の高まりがあります。特に政治報道においては、メディア側の意図が疑われやすく、今回のような「雑談」でも中立性の侵害と受け取られやすい状況が続いています。時事通信社も「雑談での発言とはいえ、報道の公正性、中立性に疑念を抱かせる結果を招いた」として、発言の軽率さを認めています。
今回の一件は、メディア関係者がオフレコのつもりで交わした言葉が、ネット配信によって誰でも聴ける状況になるという、現代の情報環境ならではの問題を浮き彫りにしています。また、SNSの拡散力によって、従来であれば埋もれていた一言が即座に社会問題化する点も、現代的な特徴といえるでしょう。
今後、報道機関はより一層、公正性・中立性の確保と、社員教育の徹底が求められます。SNSやライブ配信の普及により、記者やカメラマンの「オフレコ」が存在し得ない時代です。時事通信社も「報道機関としての中立性、公正性が疑われることのないよう社員の指導を徹底する」としています。一方で、視聴者・読者側も、メディアの発信に対し冷静な目を持つことが求められるでしょう。
この問題は、単なる失言以上に、メディアと社会の関係性や情報の透明性について、私たち一人ひとりが考えるきっかけを与えています。報道の現場で何が起きているのか、今こそ自分の目でチェックし、考えてみてはいかがでしょうか。

