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2025年11月、ヤマト運輸が「2027年から5年間で最大500人のベトナム人運転手を採用する」と発表したニュースが、SNSやメディアを通じて一気に拡がり、大きな話題となっています。ベストポストでも「ヤマト運輸、ベトナム人運転手500人採用へ 27年から長距離輸送で」と日経新聞が速報を流し、多くのユーザーが賛否両論の声を上げています。
この動きの背景には、物流業界全体を揺るがす「深刻な人手不足」の問題があります。特に大型トラックドライバーは高齢化が進み、2025年問題(団塊世代の大量退職)を迎えて、国内の労働力確保が難しくなっています。若い世代のドライバー志望者も減少傾向にあり、現場では「もう日本人だけでは回らない」という切実な状況が生まれていました。
ヤマト運輸はこの構造的な課題に対し、ベトナムのIT大手FPTグループと連携。特定技能制度を活用し、ベトナムで半年間の日本語・技能教育を受けた後、日本で1年間の追加研修と大型免許取得を経て正式採用するという二段階の育成スキームを設計しています。日本語能力はN4からN3レベルまで強化し、日本の交通法規や文化も徹底的に教育するため、安全面や生活面での不安軽減にも取り組みます。
しかしこの発表に対して、SNS上では「物流業界の未来を支える挑戦だ」と歓迎する声がある一方、「日本人の雇用はどうなるのか」「外国人運転手の安全性や待遇は大丈夫か」という懸念や批判も多く見られます。特に「賃金を上げずに外国人に頼るのは本質的な解決ではない」「事故リスクが高まるのでは」といった意見が目立ち、社会全体の議論を呼び起こしています。
今後の展望として、ヤマト運輸は年間100人ずつ計画的に採用し、まずは拠点間の長距離輸送に投入する方針です。FPTグループとの協業により、ベトナム側でも入学希望者の募集がすでに始まり、2026年には特別クラスが開講される予定です。このモデルがうまく機能すれば、他の大手物流会社にも広がる可能性があり、日本の物流インフラや労働市場全体の変化を促す起点になるでしょう。
物流の「現場」を支える力がどう変わるのか──。今まさに現場で起きているこの大きな転換点を、ぜひ注視してみてください。人手不足というリアルな課題に正面から向き合う日本社会の姿が、ここにあります。

